第4章 3 玉章と七つの影
紫苑が生徒の山から抜け出せたのは昼になってからだった。
人懐っこいカナと沙織、夏美とすでに友達となった紫苑は、三人に案内されて屋上へと赴いた。
屋上には清十字怪奇探偵団の清継、島そしてリクオが集まっており、紫苑は沙織に手をひかれてその中へとはいって行った。
「やぁ、紫苑君。ようこそ、ここ妖怪が巣くう街、浮世絵町へ。僕は清十字怪奇探偵団団長、清継だ。妖怪の事なら何でも僕に聞きたまえ。そして、ここにいるのが我が清十字探偵団の隊員、島君、奴良君。女性陣とはもうすでに仲良くなっているようだから説明はいいね。」
「よろしゅう。」
「そんなの聞かなくていいって。食べよ食べよ。」
清継を無視してお弁当を広げるカナ達、紫苑はあっと思いだすと鞄の中から今朝、若菜から預かった包みを二つ取り出した。
「はい。コレ忘れて行ったやろ?」
「あ、ありがとう。」
平然とお弁当を渡す紫苑から、目をパチクリさせてはにかみながら受け取るリクオ。
「(これは…まずいよな…)」