第3章 神の率いる百鬼夜行
紫苑が呼びかけると、座敷わらしのような少女が進み出た。
赤い瞳に大きな翼。
ゆっくりお辞儀すると、昔口調でしゃべりだした。
「朱雀と申します。」
「どこかで聞いたことない?」
紫苑が問うと、奴良組は皆それぞれ頭を抱える。数分後、黒田坊がもしやと口を開く。
「朱雀とは…その昔南の地方をつかさどっていた神のことでは…?その姿は、炎の翼をもった鳥をかたどっているという…」
朱雀は黒田坊に向かって黙ってうなずいた。その動作にみな驚きの声を上げる。
「それじゃぁ、朱雀…様は、神様なのですかぁ?!」
氷麗が声を張り上げると、紫苑が制した。
朱雀に下がるように伝え、事情を説明する。
「黒田坊が言ったように朱雀は南をつかさどる神。の、子孫よ。私達聖獣組が皆獣の姿をしているのは、その昔神がこの世界にやってきたとき、彼らは人間にも見えるようにと獣の形をとった。私たちはそれぞれがその子孫なのよ。少なからず、朱雀は直系の子孫よ。水沙音は東をつかさどる神、青龍の子孫。もう二人…白雷、漆黒鐘。」
さぁっと風が部屋に吹き込み、リクオの前に白い着物を着た少年と、黒装束の男が現れた。
「わが名は白雷。その昔、西をつかさどっていた白虎の子孫でございます。」
「我は漆黒鐘。北をつかさどる神、玄武の子孫でござる。」
「ほ、ほんとに…」
「嘘ではないよ。…でも、直系ってわけではないから神と言えるかわからないけど…ちなみに、白雷は名前からわかる通り雷を操れて、漆黒鐘は相手の視覚を支配する。」
紫苑が下がるように合図すると、再び風が吹き渡り二人は消えていた。