第3章 神の率いる百鬼夜行
ぼそっとつぶやいたのは河童。青田坊の影になってて今まで見えなかったのだ。
河童の声が聞こえた途端、青色の髪の青年が手を振った。
「おぉ、河童じゃねーか。」
「水沙音。」
リクオに見えるように一歩皆の前に出る。
「水沙音って言います。河童とは昔っからの友人です。あと、お前もこっち来いよ。」
水沙音が後ろを振り向き、手招きをすると紫苑の後ろから水色の髪をした綺麗な妖怪が出てきた。
「……」
なかなか名乗らない妖怪に紫苑が声をかける。
「行きなさい。水沙音がいるでしょ?」
紫苑の言う通りに水沙音のとなりに正座する。
「あ、あの。波色って言います…よ、よろしく。」
「…こいつは人見知りなんで勘弁してやってください。若。」
水沙音がリクオに頭を下げると、リクオはかぶりを振った。
「気にしなくていいよ。ゆっくり慣れて行ってくれればいい。」
「俺が龍で、こいつが人魚なんです。」
「人魚?…聞いたことないな。」
「そりゃそうですよ。龍だって聞いたことありませんでしょ?」
「確かに…君達は何らかの獣の形をしている妖怪。だけど、龍や人魚って…」
「彼女を見れば少しわかるよ。…来なさい、朱雀。」