第3章 神の率いる百鬼夜行
紫苑がふと神楽を見ると、黒田坊と神楽が互いに向き合って座っていた。
「拙僧は黒田坊でござる。お主とは気が会いそうでござるな。」
「俺もそう思うぜ。黒田坊。」
紫苑は視線をずらすと、焦げ茶に緑が混じった髪を持つ少女が紫苑に訴えた。どうやら早く自分を紹介したいらしい。
紫苑が勝手にしなさいと言うと、きちっと正座して口を開いた。
「あたし、音葉って言います。音を操れます!どうぞよろしく。」
少女の声はとても耳に心地よく、風のようにさわやかで、清水のようにすがすがしかった。
「可愛い声ね。」
毛倡妓が思わず声を漏らすと、音葉は顔じゅうに満面の笑みを与えて笑った。