第3章 神の率いる百鬼夜行
「聖夜。そこまでにして頂戴。」
紫苑が笑いながら声をかけると、聖夜ははっと我に返り、そそくさと後ろへ下がった。
「すみません。総大将…若?若様?」
「そうですよね。紫苑様は聖獣組総大将なのですから、総大将と呼んでもいいし、奴良組の若でもあるのですから若と呼んでもいいし…どうすればいいんですかね?」
首無しが困惑気味につぶやくと、リクオは困った顔をして腕を組んだ。
紫苑も頬に手を当て考え込んでいる。
「若は若で、紫苑様は姫とお呼びすればいいのではないか?もしくは三代目と同じく四代目とか…」
黒田坊が提案すると、皆が口々に三代目やら姫だとかをぶつぶつ言い、納得した。
「それでは、これからは若と若様ですね!」
「私たち聖獣組にとっては、総大将の紫苑様を四代目とお呼びするのは、いささか新鮮でございます。申し遅れました。私、紫苑様…いえ、姫の側近。茜でございます。どうかお見知りおきを。」
白い髪をたらし、リクオに深くお辞儀をする。
リクオは氷麗を見ると、確認するように言った。
「確か、茜と氷麗は友達だったよね?」
「はい。昔からの友達でございます。私の母の代からの付き合いです。」
「本来は氷の狼の姿でございます。雪女一族とは昔からつかず離れずの関係です。」
大人びている茜と無邪気な氷麗。まるで、本物の姉妹のように見える。