第2章 新たなる出会い
この知らせは光の速さで奴良組全体に広まった。リクオの母である若菜にも伝えられ、今さっき紫苑は挨拶を済ませてきたところだ。
「若菜さま。お疑いになられないのですね。」
「疑うも何も、紫苑ちゃんじゃない。あの、あの人に瓜二つの目。それが充分な証拠よ。雪女ちゃんも、そう思うでしょう?」
「はい。あの目と…あのお姿は、どこかリクオ様と似通ったところがあると思います。」
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雪女がお茶を持ってふすまを開けると、いきなり紫苑が飛びついてきた。
「氷麗ちゃん!!」
「あわわわわ、紫苑様!!こぼれる~!!」
あわてる氷麗に紫苑はゴメンゴメンと笑って離れた。
「奴良組は変わってないんだね。」
「紫苑様…これからは姫様ですね。は、随分変わられましたね。大人っぽくなったというか…」
紫苑はクスクス笑うと、お盆から湯呑を受け取り両手に包んだ。
「ところで、茜にはあった?」
「いいえ。まだです。」
「会いたがってるから。茜、たぶん聖夜達と一緒にいるよ。」
紫苑が指さすと、氷麗は嬉しそうに小走りに出て行った。
リクオは氷麗の後姿を見送ると、風に顔を当てて気持ちよさそうにしている紫苑に視線を投げた。
「茜って聖獣組の幹部?」
「茜は…氷麗ちゃんの友達かな。幹部って言ったら幹部だけど。氷麗ちゃんと同じで氷の妖怪。……やっと、奴良組本来の姿に戻ったね…リクオは…お母さんに似たんだ…」
最後のは独り言に近かった。
しんみりと言い出した紫苑に違和感を覚え、少し眉根を寄せると少し慎重になった。
「そう…なのかな?紫苑は…?」
「知らない。お父様もお母様も覚えてないから。覚えてるのはじいちゃんと鯉伴おじさん。」
リクオはしゅんとしてうなだれると、ゴメンと小さくつぶやいた。
紫苑はリクオには目もくれずただ、外を眺めている。
なびく銀色の長い髪はリクオの目には新鮮で、どこか紫苑が遠くにいるようにさえ感じた。