第2章 新たなる出会い
「総大将。まさかこの小娘を四代目になさるおつもりじゃありませんよね?いくらリクオ様の従妹とは言え、あまりにそれは不謹慎じゃないですか?」
総大将より早く口を開いたのは、一つ目だった。嫌そうに紫苑を見つめ、口元に笑みを浮かべている。
「…そのつもりじゃが?」
「一つ目。おまえは紫苑様を信用しないおつもりか。態度を改めろ。」
「そうは言われても、根拠がないんだ。根拠がな。」
さわさわと始まった口論が徐々に大きくなり、広間全体が騒音で埋まった。
ふと、牛鬼が口を開くと騒ぎは一瞬にしておさまった。
「ここは、リクオ様に決めてもらうのはいかがかと…リクオ様がこの娘を従妹と認めればそれに勝る理由があろうか?」
幹部のそして紫苑の目が一斉にリクオに向けられる。リクオは紫苑の視線を受け止め、心なしか不安そうにしている彼女に微笑むと、ゆっくり口を開いた。
「彼女…紫苑は僕の従妹だ。皆だって覚えてるだろう?それを疑うなんてかわいそうだよ。そりゃ…もちろん、ずっとここにいたわけじゃないけど。でも、それでも紫苑は僕の従妹で大事な家族だ。だから、紫苑は四代目だよ。…これから改めてよろしくね紫苑。そして、おかえり。」
しばらく紫苑は何も言えなかった。
嬉しさで何かがこみ上げる。
目じりが少し熱くなったのも感じた。
涙で目がうるんでるのを見られたくなくて、深く頭を下げお辞儀をした。
「重大なお役目、謹んでお受けいたします。…ただいま。リクオ。」