第2章 待ちに待ってない合宿。
隣の研磨はピコピコとゲームをしている。
歩いている時は前を向いていないから凄く危ない、でも研磨はゲームをしているくせに下を向いているくせに人にぶつかったことはないような気がする。
多分だけどクロの後ろばかり歩いているからクロが人避けになっているのかもしれない。
『ゲーム楽しい?』
「うん、楽しい」
『私にもできそう?』
「冬華もする?」
『酔っちゃいそうだからいいや』
そう、と言うと研磨はまたゲーム画面に視線を戻し楽しそうにプレイしている。研磨は小さい頃からゲームは好きだった、もう立派なゲーマーだよね。
私はこれといって好きなことはなかったし、得意なことといったらアップルパイを焼くことくらい。
相変わらず私には秀でたものはない、でも秀でたものが無くてもいい。平凡で普通に暮らせて死ねればなんでもいい。
近い席の虎くんとリエーフがワイワイ話している。
いつも通りやっくんが静かにしろと怒っているけど、やっくんもねって感じだ。
クロは爆睡してるし海くんはそれを見て笑っている。
音駒バレー部にはお母さんが一人しかいないから大変だね。
研磨は相変わらずピコピコとゲームをしていた。