第2章 待ちに待ってない合宿。
今日は初めて赤葦くんと話ができた。
話しかけられて幸せだった気がする、小さな幸せだ。
「なーにニヤニヤしてんだよ」
「クロ近い」
結構近くにいるクロを研磨が遠ざける。
研磨は気が利くっていうかなんか、うん。
二人がじゃれてる、クロが一方的に研磨にちょっかい出してるって感じだけど。
この状況は慣れた。
よし、ほっとこう。
タオルを回収していると今隣のコートで森然と試合をしている梟谷が見えた。
赤葦くんが綺麗なトスを上げて木兎が打つ、いつ見ても強烈。
あ、笑った。
なんかしてやったりって感じの意味あり気な笑みの赤葦くん、全然無表情じゃない。
「冬華、これタオル」
『あ、うん』
ぼーっとしてた。
しっかりしなくちゃ。
研磨からタオルを受け取るとカゴの中に入れる、洗濯機回して来ないといけないかな。
まだ見てたかったかも。
「冬華、さっきからなに見てるの?」
『別に、体育館の床』
「…それ楽しい?」
『…うん』
楽しいわけないしまず床見てないし。
自分で言ったんだけど今の誤魔化しはわかり易かったかな。
研磨は妙な顔をしてコートに戻って行った。
ごめん研磨。