第2章 待ちに待ってない合宿。
梟谷セッターで副部長の赤葦くん。
あのうるさい木兎を手懐けている二年生。
「なになに、冬華赤葦のこと気になんの?」
『そういう意味じゃないし、かおりこそあるんじゃないの?』
「私彼氏いるし!!」
『え、いたの?』
「かおりの彼氏はね、木葉なんだよ〜」
さらっとバラした雪絵。
かおりに怒られても助けてあげないよ、自分でなんとかしなさい。
かおりは少し顔を赤らめて怒っている。
「このグミあげようと思ったけどやーめた」
ポケットの中からグミを取り出すと雪絵の前でそれをチラつかせる。雪絵はグミを目で追っていて少し面白い。
「先輩、何やってんスか」
急に男子の声がして振り向くと、さっき話に出ていた赤葦くんが呆れたような顔をして立っていた。
私を見ると何故か直ぐに目を逸らして雪絵とかおりに話しかける、私の顔になにかついてたかな。
「孤爪さんに迷惑掛けてたんじゃないですか?」
「失礼な奴め!!」
「かけてないよ〜」
「てか、赤葦それ紛らわしい」
「どれですか?」
「「冬華の呼び方」」
おお、ハモった。
確かに研磨と紛らわしいかもね、大体の子がどっちかを名字で呼んでどっちか名前で呼んでるし。
かおりと雪絵が赤葦君に言いよると困った様に呟いた。
「冬華さんって呼んでもいいですか」
『いいよ、赤葦くん』
他校の子に名前呼びなんて久々だな。
なんて、平然を装ってるけど内心急展開でビクビクしてる。
変なやつって思われてるんだろうな。
赤葦くんはこれでいいですかと雪絵たちに言うと逃げる様に走って行ってしまった、なんだったんだ一体。
「今の赤葦は初めて見た」
「私も〜…」
どんな表情をしてたのか、気になる。
同じ高校の雪絵とかおりが見たことのない表情だ。
私も見てみたい。
『赤葦くん、いい子だね』