第2章 待ちに待ってない合宿。
視点 赤葦
あの後監督にお叱りを受けた。
虫には優しく、とのこと。
「赤葦~」
「木葉さん、どうかしました?」
「さっきの、もしかして…」
「……なんのことっスか」
交わし方がわかり易すぎたか。
廊下でたまたま会った木葉さん、近くにいたからあの悪口や虫がいなかったことなんて知っているはず。わざわざ聞いてくるなんてタチの悪い人だ。
「赤葦と冬華って面識ねえよな?」
「孤爪さんですよね、ありませんよ」
「ふーん…」
「なんですか」
さっきからニヤニヤと…俺で遊んでそんなに楽しいか。
俺で遊ぶ暇があるなら木兎さんの相手してきてくださいよ、俺は木兎さんのお世話係じゃないんですからね。
「お前さ、まさか…冬華に」
「ありません」
年相応の質問だ。
孤爪さんのことは正直気になる、話してみたい人だ。
あれ、でも孤爪と似たような雰囲気だったから人見知りかもしれない…変に怖がられるのは嫌かも。
じゃあどうやって話しかける?後で考えとこう。
不自然じゃなく自然に話しかけられて怯えさせることなく話せる方法を。
「赤葦が冷たい」
「冷たくさせてんの誰っスか」
「へーい」
木葉さんは俺を追い抜き先を歩いていく。
くせっ毛の俺が羨ましく思うストレートの木葉さん、羨ましい…。