第2章 待ちに待ってない合宿。
視点 赤葦京治
夏の強化合宿。
暑い体育館に木兎さんがいるとなんだかもっと暑く感じる。
その木兎さんが音駒のマネージャーさんに悪絡みしているのを見て回収しに行こうとしたけど、なんだか少し気が引けて木葉さんにお願いしてしまった。
そういえば音駒に女子マネージャーいたっけ?
金髪であの目はどこかで見たことがあると思っていたら、やっぱり孤爪の親族だった。
三年の孤爪冬華さん、先輩だ。
あれ、先輩ならなんで去年の合宿にいなかったんだろう。
今年から始めたなら分かるけど…少し気になる。
「クマやばくね?」
後ろにいるスタメンではない二軍の奴等が小声でそう呟いた。
孤爪さんのことを言っているのだろう、彼女の目の下には濃いクマがあるから。
放っておくとまた小声で孤爪さんの悪口を言っている、多分隣にいる木葉さんにも聞こえているんだろう。
木葉さんの顔は少しイライラしている顔だった。
音駒の方々にに聞かれる前に対処したいけど黙らせ方が分からない…
一つ考えついたけど怒られてしまう可能性大だ。
木兎さんに迷惑をかけてしまうかもしれない、そう考えると実行するのに気が引ける…でもやるだけやってみよう。木兎さんすみません。
俺は右足を勢いよく下へついた。
もちろん後ろの二軍は黙るし各高校の方々も驚いている、隣の木葉さんもだ。
「…スンマセン、虫がいたんで」
こんな勢いよく足で踏み潰す虫なんてゴキブリとかムカデぐらいだろ。結果オーライで後ろの奴等を黙らせることに成功した、よくやった俺。自分で自分を褒めてみる。
まだ話したことのない貴方の悪口を、平気で言う奴等が許せなかっただけで。