第2章 待ちに待ってない合宿。
音駒の各選手の紹介が終わり、とうとう来てしまった私の番。たまたま猫又さんの隣にいた私は、猫又さんに一足先に笑われた。そんなに緊張しなくても大丈夫だ、と。緊張はしてません、この人がたくさんいるのが嫌なんです。
『三年マネ…の…孤爪…冬華…です』
グダグダ、これ絶対笑われるよ。
チラッとクロを見るとクロは意味ある笑顔じゃなくて、良くやったなみたいな感じの優しい笑顔で笑っていた。やっくんもぐーを出して笑ってくれている研磨も口元が少し笑っていた、笑われてるけど笑われなかった。私、よく頑張った……自分で自分を褒めてみる。
私が後ろへ引っ込むと梟谷の赤葦くんが右足を上げて勢いよく足踏み?みたいなのをした。バンっとゆうまあ凄い音が体育館中に響き渡り、私も他校の監督コーチ部員も肩を上げて驚いている。
「あ、スンマセン…虫がいたんで」
ああ、殺したのね。
でも虫殺すのにあんなに勢いよく足で踏み潰さなくても良くない?多分あれは虫を殺したんじゃなくて彼の感に触るような事があったんだと思う。
どうでもいいけど、
赤葦くんって、
透き通ってて綺麗な声してる。