第1章 *くるぶし*
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少し顔を赤く染めて、あからさまに興奮していることがわかってしまう有紗。そんなに?と聞いてしまいそうになるが、それはダメダメと口を防ぐ。
やっぱり、女子に人気なんだろうな…いや、知っていたけど。
うん。でも全くわからない。昔から男子に興味なくて、よく有紗に引かれてたなぁ……でももうわかってくれているからいいんだけど。
えぇ〜とまだ驚きを隠せないようすの有紗をよそに私はお弁当を食べ進める。すると、何かに気付いたのか有紗にぐいっ、と腕を引っ張られ、今度は私が箸を落としてしまいそうになる。
「ほらっ、いるよ玉森くん!」
本人にバレないような小さな声で有紗が言う先には熾烈な購買争いから返ってきた男子たちに交じって一際目立つ玉森くんの姿があった。横にいる茶髪な男子と仲良さそうに、ここの教室に入ってくる。
玉森くんは、私たちより遠く離れたイスに座る。あの茶髪の彼がきっとこのクラスなんだろうな。
いつも1番前の席だから、気付かなかったけど、なんか普通に笑うんだな玉森くん。もっとクールな人だと思ってた。
「やっぱりイケメンだよ…どう見ても、それで興味ないとか…やっぱりヤバいよ……」
ヤバい、と言われて私だってムッとする。確かにイケメンだとは思う、けど。興味がないんだから、それはしょうがないような気もするんだけど。
やっぱり宮っちと仲良いんだよね〜、と言う有紗。私は初めて聞いた単語に若干戸惑う。すると、有紗が教えてくれる。
「玉森くんといつも一緒なのが、宮っちこと宮田俊哉」
『…ふーん』
玉森くんと仲が良くて、お人好し。イケメンだけどアニヲタ。と言う有紗から聞いたことを頭の中にインプットする。明日になったら忘れてそうで心配だけど。
いや、別に覚えなくてもいいんだった。
『有紗、箸』
ああっ、とやっと気付いた有紗。私もそれに続けて黙々とお弁当を食べた。
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