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*たまもりくんは花がすき*

第1章 *くるぶし*








2年2組の玉森裕太と言えば、顔が女子か、いや女子以上かよ、と言うほど整っていて、本当に声変わりしているのか心配になるような甘い声。


勉強と運動が出来るかどうかは別として、かなり女子にモテているようだ。余談だけど、私は全くそういうものには興味がない。



今にも歯茎が剥き出しになりそうな程悔しがっている山名を見ればそれは一目瞭然だと思う。残念だけど、私にこのくじを預けたのは自分自身だ。





「ちょ、ちょっと待って!!もう一回!やりましょうよ!」


そう言い出した山名を筆頭に大勢の女子たちが今までにない程の団結力を生み出した。こういうところで使うものじゃないと思うんだけど……


でも勿論、これは時間が限られている朝会なので、どれだけ生徒に甘い尾口先生でも時間厳守は絶対みたいで、その少しだけ発揮された団結力は瞬く間になくなっていった。




これは、吉なのだろうか、それとも凶なのだろうか。取り敢えず、真ん中をとって末吉でいいんじゃないかなぁ……








午前中の授業は全て終わり、私は有紗がいる3組の教室でお弁当を広げる。この学校は、お弁当が指定されていないので、瞬く間に教室から男子生徒が消えていく。


こうやって、有紗と一緒にお昼を食べるのが唯一の楽しみだ。


私は自分で作った卵焼きを箸で割りながら、朝会で体育祭の実行委員になってしまった経緯を説明した。山名のことはやっぱりどうしても言えなかった。




「えっ、マジ?…大丈夫なの?」


私の運動音痴さを昔から見てきた有紗にとっては心配で仕方ないんだろう。私だって実行委員なんて死んでもやりたくない。



『……大丈夫じゃないなぁ…でもしょうがないし』



本当はやりたくないけど、私に言う権利なんかないし、ここで何を言おうと、何かが変わる訳じゃないから。



そして、もう1人は玉森くんになったよ、と言ってみると、有紗の箸がぽろり、机の上に落ちてしまった。何かの衝撃を受けてしまったようだ、もしかして有紗も玉森くんに好意を寄せていたのだろうか。



「……うそ、玉森くんが…!?」



箸のことも忘れて、ぐいっと私に顔を近づける有紗。私はそれに圧倒されながらも、うん、と頷いた。





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