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*たまもりくんは花がすき*

第1章 *くるぶし*









朝からざわざわうるさいこのクラスは、2年2組。有紗は隣の3組で、本音を言えば有紗と同じクラスが良かった。


だけど、そんなのもう願わない夢である。1限目の用意を済ませた私はバッグから1冊の本を取り出した。最近はずっと文豪の小説にハマっている。かなり珍しいとは思うけど、特に芥川龍之介の話なんて最高だ。


今読んでいる話は、誰もが聞いたことのある話。中学生の頃習ったのを思い出しながら、すいすい読み始めた。学校で1番好きな時間といえばこれぐらいしか浮かばない。




しばらく、私が本の世界に入っていると、あぐあっ!と言う聞いたことのない奇声が聞こえて我に返る。声が聞こえた方には教室の入口でたくさんのプリントを見事にばら撒いた担任の尾口先生の姿が。


クラスは瞬く間に、爆笑の渦に飲み込まれる。私もその大人とは思えない可愛らしい姿についクスッと笑ってしまう。


何人かのクラスメイトにより無事プリント回収が出来た尾口先生がペタペタスリッパを鳴らして教卓に立つ。





「びっくりした〜あそこはちょっと滑りやすいからみんなも気をつけてね!」



誰がだよ、とついツッコんでしまいそうになる。尾口先生は今年初めて担任を持った新任で、まだ若い女の先生だ。だけどその愛嬌の良さは、逆に私が欲しいくらい。




すると、尾口先生は背伸びをして黒板に何やら書き出した。その文字を1つ1つ最後まで辿っていって、心の中で出た感想は面倒臭い、ただそれだけだ。


馬鹿デカく書かれたのは、体育祭の文字。最悪だ、最悪しか言葉が出てこない……



この時期になって、もう時期だろうとは思っていたが、あまりにも残酷な発表に、私の心は朝からブルーになる。


当然、クラスは朝より酷い騒めきに包まれる。このなんとも言えない時間が私の1番嫌いな時間。




「それでね、このクラスから実行委員を決めたいと思います!!」



う〜わ〜……出たよ。この決めるものが。尾口先生はじじゃーん!とどこに隠し持っていたのか大きな箱を取り出して高々と掲げた。あまり嬉しくない。


何故こういう時に限ってくじ引きなのか…いや、私は生まれつき運の悪い子だと散々言われてきた、ここで当たってたまるか…!!







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