第6章 雄英体育祭
~別side~
「……あの子、よく掴めない子だねぇ」
「…分かるのですか?」
彼女が去った後、リカバリーガールがそう小さく呟いた。私は思わず彼女の言葉に苦笑してしまう。
「あの子だろ?あんたが元の姿で、私的に付き合いがあるって子は」
「…ただの偶然ですよ」
相澤くんだな…。私がため息をつくのを見て、リカバリーガールは肩を竦めた。
「掴めないねぇ。あのくらいの歳の子は、複雑だから。それに、ここの子はさらにヒーローを目指しているからね。より複雑さ」
リカバリーガールの言葉で、先程の彼女の反応が頭を過ぎった。…てっきり、八木のときの私のように…反応を見せてくれるとばかり思っていたが…。NO.1ヒーローということで、彼女も緊張をしたのだろうか…。
「…あの子はどちらかと言うと、元の姿のあんたに懐いているようだったねぇ。よかったじゃないか」
「……元の姿の私なんて、誰も見やしませんよ。平和の象徴としての私が、世間ではわたしなのですから」
「……平和の象徴としてのあんたも立派だが、それを作り上げたのは他でもない元の姿のあんたがあってこそだろう? あんたはあんたさ」
私はリカバリーガールの言葉にほほ笑みかけ、そして部屋を後にしたのだった。