第6章 雄英体育祭
「………う…」
「やぁ、起きたかい? 随分無茶をしたようだね。犬猫山少女!!」
いつの間にか眠っていたようだ。目を開けると、視界いっぱいにオールマイトの顔があった。
「……オールマイト…なんでここに……」
「キミが倒れて、爆豪少年に運ばれたって聞いてね。キミが無茶をするなんて珍しいこともあるものだ」
オールマイトが体に似つかわしくない椅子に、私にほほ笑みかける。……この油断しきっている…平和の象徴を殺せたなら…私の目的も果たされるのだろう。私の両親やおばさんを見殺しにした…あのヒーローだって……。
「大丈夫かい? 本選は辞退もできるが……」
目の前のすっかり先生の顔になっている平和の象徴に、私は無理に微笑んだ。
「……大丈夫です。お忙しいのにすみません。私、本選の準備しに行きます」
「え…あ…ああ!! そうだね!それがいい!」
…?まだ何かあるのだろうか…。しかし、これ以上話していると、私の中の殺意が彼に襲いかかってしまいそう。だから、私は一礼をして、リカバリーガールにお礼を言うと、その部屋から離れた。