第16章 私はヴィラン、ヒーローじゃないの
「エンデヴァーさんに…?」
百ちゃんの言葉に私は頷いた。
「仮免合格してさ…私が目指すヒーローって何だろって思って…。…その人に会ったら何かわかるのかなって思って…」
半分嘘で半分本当。今日外に出ないといけない用事ってのはエンデヴァーに会うことだった。まぁ、どんなヒーローになるか云々ってのは嘘だけど。
「ここ数日で、やっと会えるの…。お願い…」
百ちゃんはしばらく考えたあと、大きくため息をついた。そして、見逃すのは今日だけだと言うと、私の肩をぽんっと叩いた。
「…夜蝶さんの悩みが解決されることを、お祈りしていますわ」
私は彼女に礼を言うと、足音に気をつけて外へと出た。