第6章 雄英体育祭
爆豪が連れてきてくれたのは、医務室だった。普段の彼からは想像出来ないほど、ありがたい…。リカバリーガールがおやおやと私たちを出迎えてくれる。
「こりゃ、また個性を使ったね。キャパオーバー仕掛けてるじゃないか」
爆豪が私をベッドへと連れていく。
「……ありがとう爆豪く……」
「おらぁ!!」
「ぶへっ!?!?」
私はベッドに投げ捨てられ、思いっきり鼻を打ち付ける。な…なにする…
「てめぇ、なにしらばっくれてんだ!!」
「え…」
何を言ってるのだろう?私はポカンと爆豪を見つめた。
「覚えてんだろ! なに知らねぇふりをしやがる!!!」
彼の言葉に、私は思わず目を逸らしてしまう。リカバリーガールがそんな私たちを見ながら、お茶を啜る。…あまり下手なことを言うのはまずい。私は口を開いた。
「……だって……」
「あ?」
「だって、恥ずかしいじゃん!!!」
「はぁ!?」
私はバッと手で顔を覆う。こういうのは、大体恥ずかしがっていれば上手くいくのは経験上知っていた。
「だって、私のあの幼少期を知ってるってことでしょ?無理!恥ずかしい!照れくさいじゃん!それに、久々に会った二人、記憶と全然違って、爆豪くんなんて…か…かっこよく…なってるし……」
「………………」
…………ん?私はしばしの沈黙に手の隙間から顔を覗かせた。爆豪は眉間に皺を寄せて、私を見ていた。…え。なに…
「………このクソアマッ!!!!!!」
「わわっ!」
軽い爆破を何個かして、爆豪は大股で部屋を出て行く。……なんだったんだ…?
「おやおや。青春だねぇ」
リカバリーガールはほのぼのとそう言った。