第6章 雄英体育祭
心操くんが尾白くんとB組の男の子の洗脳を解くと、ハッときょろきょろと辺りを見回す尾白くん。
「犬猫山!? なんでそんなフラフラなんだよ!?」
大丈夫か!?と、私を気遣い支えてくれる尾白くん。そんな彼に少しばかり罪悪感が芽生え、私はごめん…と謝った。
「………俺、あまり覚えてないんだけどさ…でも、犬猫山が俺に怪我をさせたら許さないって言ってくれてるのは聞こえた。ありがとな」
なんだか納得したような、優しい笑みを浮かべる尾白くん。私は彼に何か言おうと、口を開きかけた。
「おい! クソアマ!」
しかし、その前に私に突撃してきた爆豪によって遮られた。……ていうか、爆豪、2位なんだね。私、君のを取ったはずなのに…どれだけポイント取ったのよ。
「お、おい!爆豪!犬猫山、フラフラなんだから乱暴には……」
「うるせぇ!クソモブは黙ってろ!!」
いつもはスルーする言葉も、私は罪悪感から黙っていられなかった。
「ちょっと…クソモブって言い方はないんじゃない? 爆豪……」
「うるせぇ!!ぶっ殺すぞ!!」
えー!そんなに私にポイントを取られたことが悔しいの!?いや、私だって死活問題だったし……
「おいおい、爆豪。俺たち2位だったんだから、あまりつっかかんな……って犬猫山!?」
やはり最後、無茶しすぎたようだ。私は膝がガクンっとなり、地面に倒れ込んだ。
「う……痛くない…?」
硬い地面に鼻をぶつけるかと思ったが、意外にも鍛えられた腕で支えられた。しかも、その支えてくれた人物もまた意外中の意外。
「ちっ」
爆豪は私を荷物のように抱え、歩き出した。
「うおっ!? 爆豪、お前男だな!!」
切島はそんなトンチンカンなことを言っており、私はふぅっとため息をついた。