第2章 雄英に合格
「大丈夫ですか?」
私は唖然としているその人に声をかけた。その人はハッとした顔で、
「駄目じゃないか!!あんな危険なことして。何かあったらどうするんだ!」
と怒った。私はつくづくお人好しだと思った。殴られそうになった相手のことを心配するだなんて。
「平気ですよ。私の個性は動物とのコミニケーションできるので、襲わせたりなんかしません」
すると意外な答えが返ってきた。
「それについては分かっているさ!!私が心配なのは君だよ。あの手合いは根に持ちやすいからね。」
今度はこちらがポカンとなる番だった。そんな私にその人は不思議そうにした。
「どうしたんだい?」
「あ、いえ……その……どんな反応をすればいいのか分からなくて……」
人から心配されたのなんて……両親が生きていた頃ぶりだ。あの時、私はどんな反応をしていたのだろうか。ずいぶん昔の話で思い出せなかった。
「………そっか。しかし、礼を言わなくてはならないね。助かったよ」
「……いえ。私はこの子を助けただけなので」
むしろあなただけだったら私は無視していたし。
「あ、その猫ちゃん動かないけど平気かい??」
「ええ。安心して眠っているだけです。一応怪我の手当をするためにうちに持って帰りますけど」
「そうか。ありがとね!」
ニコッと微笑むその人をよく見ると、頬は痩せこけており、顔色もあまりよくない。
「………自分の方が重症じゃん」
ボソッと呟いただけだが、聞かれていたようだ。その人はまたニコッと笑った。
「私は平気だ!! 持病でね。だけどピンピンしているよ。このとおり…ブハッ!」
…………全然大丈夫じゃない。血を吐き出したその人を見て思った私だった。