• テキストサイズ

私の敵はヒーロー

第2章 雄英に合格


「大丈夫ですか?」

私は唖然としているその人に声をかけた。その人はハッとした顔で、

「駄目じゃないか!!あんな危険なことして。何かあったらどうするんだ!」

と怒った。私はつくづくお人好しだと思った。殴られそうになった相手のことを心配するだなんて。

「平気ですよ。私の個性は動物とのコミニケーションできるので、襲わせたりなんかしません」

すると意外な答えが返ってきた。

「それについては分かっているさ!!私が心配なのは君だよ。あの手合いは根に持ちやすいからね。」

今度はこちらがポカンとなる番だった。そんな私にその人は不思議そうにした。

「どうしたんだい?」

「あ、いえ……その……どんな反応をすればいいのか分からなくて……」

人から心配されたのなんて……両親が生きていた頃ぶりだ。あの時、私はどんな反応をしていたのだろうか。ずいぶん昔の話で思い出せなかった。

「………そっか。しかし、礼を言わなくてはならないね。助かったよ」

「……いえ。私はこの子を助けただけなので」

むしろあなただけだったら私は無視していたし。

「あ、その猫ちゃん動かないけど平気かい??」

「ええ。安心して眠っているだけです。一応怪我の手当をするためにうちに持って帰りますけど」

「そうか。ありがとね!」

ニコッと微笑むその人をよく見ると、頬は痩せこけており、顔色もあまりよくない。

「………自分の方が重症じゃん」

ボソッと呟いただけだが、聞かれていたようだ。その人はまたニコッと笑った。

「私は平気だ!! 持病でね。だけどピンピンしているよ。このとおり…ブハッ!」

…………全然大丈夫じゃない。血を吐き出したその人を見て思った私だった。

/ 328ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp