第6章 雄英体育祭
ミッドナイトが声高らかに、第三種目が騎馬戦だと発表した。
「ふーん…緑谷くんが1番点数を持ってるんだ」
ニヤリとした笑みを緑谷に向けると、
「…な…なに…犬猫山さん」
と緑谷は臆した様子を見せた。私は猫背になってきた彼の背を思いっきり叩き、彼を鼓舞した。君には頑張って個性を出してもらわないと。
「皆、緑谷を見てるよ!ファイト!」
「う…うん!! …え……あ! 犬猫山さん!!」
周りがチームを作っていく中、私は真っ直ぐにとある人のところへ向かった。その人も私を見ており、視線が重なり合いながら私は彼に足を進める。しかし、そんな私を呼び止める人が1人。
「おい、犬猫山! チーム組まねぇか!」
それは、切島だった。私は意外だというように首を傾げた。
「あれ?私はてっきり切島くんは爆豪くんと組むとばかり…」
と言いかけ、隣に不機嫌そうな爆豪が見えたので、言葉を切った。なるほど。爆豪はすでに説得済みってことか。私は一瞬考えて…
「んー…騎手の爆豪くんが嫌そうだから、止めとく」
「んだとゴラァ!! 俺だっててめぇと組みたくはねぇわ!!」
爆発させながらキレる爆豪を呆れた顔をして見る切島。いや、私は組みたくないとは言ってないし…
「あわわっ…そんなに怒らないでよ!」
爆破されては叶わんとスタコラサッサと逃げる私。そんな私たちを見て、切島が一言。
「爆豪…お前もう少し素直さを身につけた方がいいのかもな…」
いや、爆豪に素直さが備わったら、恐怖以外のなにものでもないわ。