第6章 雄英体育祭
おー、もう追いつかれたか。私の想像では、もう少し後だったんだけど。私の前を走る轟に私は苦笑いを零す。その時、大きな爆発音が聞こえ、私は益々苦笑いを零すのだ。
「こぉんのクソアマ!! 俺より先を行くんじゃねぇよ!! ぶっ殺してやる!!」
これまた敵意むき出しの爆豪。私は彼に爆発されないよう足を早めた。下には地雷、後ろも地雷で逃げ場は前に進むだけ。私は轟の後ろにピタッとくっついて走った。その横をすごい速さで駆け抜けたのは……
「てめぇら、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!!」
爆豪だった。彼は轟を追い越し、ここで本日2度目の先頭交代。
「ここで再び先頭がかわったーー!喜べマスメディア!!お前ら好みの接戦の展開だぁぁ!!」
プレゼントマイクのアナウンスで、興奮する会場。私はため息を吐いた。
「…てめぇらって…私も宣戦布告したことになってるの?」
「ったりめぇだ! あれが宣戦布告じゃなかったら、てめぇは何でここにいやがる!」
至極真っ当な答えが帰ってきて、私は2人の腕を掴み、思いっきり引っ張りあげた。
「そりゃそうだ」
とても女子とは思えない怪力で、男二人を押しのけ、再び先頭を走る。
「再びこいつがトップに舞い降りたぁぁ!1-A 犬猫山夜蝶!! ムサイ男共と対等に渡り合うその実力ぅ!気に入ったぜ!!」
後ろで、2人が個性を使おうとしているのが肌で感じとれた。私は笑った。
「だからさぁ、言ってるじゃん。何も前だけに敵がいるわけじゃないって!!」
その時、後ろから大きな爆発音が鳴り響いた。……ようやく来たか!
「来るのが遅いよ! デクくん!!」
さぁ、勝負はここからだ。