第6章 雄英体育祭
まず先制を仕掛けたのは、全体への妨害が可能な個性を持った轟だった。まぁ、あれだけ、緑谷に好戦的な態度を示したんだ。何もしないという方がおかしい。私は轟とは絡んだことはなかったが、案外分かりやすい性格のようだ。事前に予想していた私は彼の真横を走り、凍結を免れた。
「……わりぃ、犬猫山」
パキッと冷気が伝わり、私は思わず力強く足を蹴った。
「先頭は譲れな……っ!?」
だから、そういうところが分かりやすいんだよ。私は凍結させられる前に、鳥を操り、彼の視界を奪った。その隙にスピードを上げ、彼の前を走る。そして、一言。
「悪いね、轟。先頭は譲れないの」
それが轟の闘争心を煽ったようだ。冷気が私を遅い、私はニヤリと笑った。あなたの敵は前だけじゃないよ?それに気づいたのか、私への攻撃をやめ、轟は後ろをちらりと見る。
「………クラス連中は当然として…思ったより避けられたな…」
後ろから他A組のほとんどが凍結妨害を読み躱していたのだ。その時、私は目の前に大きな障害物があるのに気づく。轟やその後ろにいる人達はまだ気づいていない。…ふむ…
「轟のウラのウラをかいてやったぜ。ざまあねえってんだ! くらえ、オイラの必殺……」
そして、後ろではちょうど先程の仕返しとばかりに早速峰田が轟に攻撃を仕掛けようとしていたところで……
「峰田くん?」
あ、峰田くんが飛んでった。