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私の敵はヒーロー

第6章 雄英体育祭


「体育祭で活躍しなさい。前回、あなたはあまり役にたちませんでしたから」

そう黒霧さんに言われ、私は顔を歪ませた。大体、情報を渡し終えたスパイがどう役に立てと?すると、私の心を読んだように、黒霧さんは言った。

「死柄木があなたが邪魔をしたと言っていました。どうせ、死柄木がはしゃいでしまったのでしょうが、あなたもあなたです。少なくとも、あなたの行動で我々側が不利になってしまった事実もありますし…それを体育祭で挽回しなさい」

わたしは痛いところをつかれ、そっぽを向く。しかし、私は悪くない。あれは全て死柄木のせいだ。

「所詮、烏合の衆でしょう? たかが生徒にやられるなんて…ヴィラン連合軍と名乗るのもおこがましい方々でしたよ」

「まぁ、あなたと死柄木の才については、私もあの方もきちんと分かっていますよ。しかし、あれは良くなかった。あなたの立場が今、あまり良くはない…そこまで言えばわかりますね?」

つまり、何か成果を出せ…そう言いたいのか。体育祭で私自身の力を見せつけ、有名なヒーロー事務所のスカウトを受ける。そして、スパイとしての本領を発揮しろ…なんて面倒な。

「………分かりました。あまり目立つのは本意ではないのですが…」

「期待していますよ。犬猫山夜蝶」

回送終了。というわけで、私はここで結果を上げないと、あちら側に私の席はなくなる。悪ければ、私がヴィラン側のスパイだと告げ口まで食らってしまう。私は息を吐いた。ミッドナイト先生が声を張り上げる。

「さーてそれじゃあ早速第一種目行きましょう。いわゆる予選よ!毎年ここで多くの者がティアドリンク!さて運命の第一種目!今年は………コレ!!」

軽快な効果音が鳴り響き、大画面の液晶に表示された映像がポップに動く。第一種目、障害物競走。

「何をしてもいいって! 何しちゃおっかなぁ」

ウキウキとそう言うと、梅雨ちゃんが笑った。

「でも、やりすぎは禁物よ。コースを守らないと失格になっちゃうわ」

私は梅雨ちゃんの忠告にふふっと笑い、人を波をくぐり抜けて前の方に立った。なるべく、轟から離れた所に。アナウンスに従い、ゲートに一学年すべてのクラスが集まっているので、後ろはぎゅうぎゅうだ。この人数で、こんな狭いところからのスタート……つまり…

「最初のふるい」

一次予選、スタートの合図が鳴り響いた。
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