第6章 雄英体育祭
雄英体育祭当日。まだ少し時間があるというのに、既に会場は賑わいを見せていた。
「群がれマスメディア!今年もおまえらが大好きな高校生たちの青春暴れ馬…雄英体育祭が始まディエビバディアァユウレディ!!??」
各自好きに過ごす控え室に、プレゼントマイクのアナウンスが鳴り響いた。場の緊張がさらに増した。この場にいる誰よりも緊張しているお茶子ちゃんの肩をトントンと叩いていると、誰かが私たちの横を通り過ぎた。
「緑谷」
それは、轟くんだった。彼は真っ直ぐ緑谷くんを見て、そして緑谷くんもまた彼を見た。2人の視線が絡み合い、緊張でガチガチのクラスメートたちが彼らに視線を注ぐ。
「客観的に見ても実力は俺の方が上だと思う」
「へ!?うっうん…」
「…おまえオールマイトに目かけられてるよな、別にそこ詮索するつもりはねえが──お前には勝つぞ」
轟焦凍。推薦で雄英に入ったクラス最強と称される少年であり、オールマイトに次ぐNo.2のヒーロー…エンデヴァーの息子。彼の個性は、炎と氷で、その強力な個性はクラスでもダントツと言える。その彼が、緑谷くんに宣戦布告とは…クラス中が目を見開くのを感じた。
「僕も本気で獲りに行く!」
普段は非積極的な緑谷くんが、そう拳を握りしめる。雄英体育祭…非好戦的な者でさえも、ギラギラさせるのか。このクラスの誰もがみんな一番を目指している…。私以外のね。私は緑谷くんのその言葉を最後に、部屋を離れた。さぁ、雄英体育祭が始まろうとしている。