第6章 雄英体育祭
お?気に触ることを言ってしまったか。心操くんは忌々しそうに言葉を吐き捨てた。
「…不利だよ。この個性は、俺がヒーローになるのに、ことごとく邪魔になる!あんただって思うだろ? この個性はヒーローには似つかわしくない。ヴィランの個性だって!」
私は彼のその剣幕に、そうやって周りから言われ続け、心が折れてしまったのだと察した。……あぁ…やっぱり似てる。私は彼の隣に勢いよく座った。
「悪いことし放題だね…とかでも言われたの?」
ピクっと肩が動く心操くん。私はクロシロを抱き上げ、肉球を彼の頬に押し付けた。
「そんな言葉を真に受けるなんて、馬鹿だにゃあ。個性はただの個性でしかにゃく、それをどうするかはキミ次第にゃ」
「………は?」
ポカンと私を見る心操くん。私は笑った。せっかく洗脳の個性なんて最高なの持ってるのに、その相手に翻弄させられたら駄目じゃん。
「私はカッコイイと思うよ? 洗脳。だって、そんなヒーローがいたら、ヴィラン側にとって脅威でしかないじゃん。それに、誰にも真似出来ない…抹消ヒーローイレイザーヘッドみたいな、ヒーローになれるってことでしょ? なにそれ最高じゃん!!」
「………」
「ヒーローになる? うん。なろう!! 私は動物を操って、心操くんは人間を操る。私たち相性いいと思わない?」
クスクスと笑うと、心操くんは少し調子を取り戻したようだ。
「………あんた…そうやって男を落としてきたのか?」
私は不敵に笑った。彼のこの目のギラつきから、今答えたら私は再び逆立ちの姿勢に逆戻り。私は代わりに、彼の頭を乱暴に撫でた。
「じゃあまたね。励ましてくれてありがと。ツンデレの心操くん」
私は手を振って、その場を離れた。心操くんはボサボサの髪のままポカンとした表情を崩すことなく、私を見ていた。その表情を見て、私はやはり彼を思い出してしまった。幼い頃からずっと一緒にいる…友人の狛川 虎太郎のことを。