第6章 雄英体育祭
「……はっ!?」
頭にモヤがかかったような…そんな感覚が晴れ、気づけば私は逆立ちをしていた。目の前では心操くんが逆さま状態でクロシロを撫でている。
「…これ…心操くんの個性?」
「……」
私が腹をかかえて笑った後の記憶が無く、気づけば逆立ち状態…いや、腹をかかえて笑ったあと、心操くんから声をかけられ、確かそれに答えてからの記憶がない。………なるほど。
「洗脳か。珍しい個性持ってるね」
逆立ちから体勢を整えながら、私は彼にそう言った。発動条件としては、自分の問いかけに相手が答える…と言ったところか。そう言えば、一時期黒霧さんが洗脳の個性持ちを探してた時期があったなぁ…。まさかヒーロー側にいるとは。人生、何があるか分からないものだ。
「………あんた…頭も働くのか」
舌打ちをする心操くんの様子を見る限り、彼も個性を使うつもりはなかったようだ。私は微笑んだ。
「発動条件もシンプルで、まさに初見殺しってところ? 心操くん、あれだけ自分の個性が不利だと言いながら洗脳って……最強じゃん」
私の言葉に心操くんは反応を見せ、ギロっと私を睨みつけた。