第2章 雄英に合格
「……別にいいんですけど、何故貴方方が訓練のことについて知っているのですか?私でさえ今知ったばかりなのに」
……まさか私以外にも内通者がいる…とか?もしそうならば私はヴィラン側からも見張られているということになる。
「ヒーローを疎ましく思っているのは何も我々だけではないという事だ。金儲けしたい上の立場にいる奴らがいい例さ」
「そうですか。それは喜ばしいことです」
……嘘だな。私はちらりと黒霧さんがいる当たりを見た。こちらからは黒い影しか見えないが、声から少々動揺の色が見えた気がする。………私以外にも内通者がおり、かつそれはもうすでに私よりも早く行動を起こしている。……まぁ、私は私で勝手にするから別にいいけど。
「……ところで、先程の作戦なのですが。一応標的は平和の象徴ではないのですか?それだと、生徒達や一部の先生が標的となってしまうのでは………? 黒霧さん?」
私は返答のない黒霧さんに疑問を感じ、足を止めた。先程と違い黒霧さんは、何も言わない。行ってしまったのか?
「おい」
突然前から話しかけられ、私は驚きから飛び上がった。話しかけてきた人は、クラスメートの爆豪勝己だった。見たところ彼は個人プレーを好み、知り合いがいても慣れ親しむということをするタイプには見えないのだが……。…まさか黒霧さんと話すのを見られていた?
「……おい!」
私が何の反応も示さないことにイラついたのかボンッと爆発させる爆豪。
「うわわ!!カツアゲは勘弁してよ!!」
「ああん!?誰がカツアゲするなんて言った!?」
「いやいや、だっていかにも金出せよおいみたいな態度じゃん!!!!」
すると、大きく舌打ちをする爆豪。ふむ。どうやら聞かれてはいなかったよう。
「………お前、本当に覚えてないねぇのか?」
「ん?」
ボソッという言葉に首を傾げる。一体何の話をしているのだろう?
「んーと、ごめん。なんのはな……」
「ちっ!! 別に何もねぇよ!!」
ボンッと先程より大きい音をたてながら爆豪は去っていった。なんだったんだ?