第2章 雄英に合格
「どこへ行く?」
ヒヤリとした声が突然宙から聞こえ、私は足を止めた。それは偶然にもクロシロと同じ問いかけだったので、私は再び足を進めながら笑った。声の主は不思議そうに
「なにがおかしい??」
と聞くのでさらにおかしかった。
「黒霧さん、お久ぶりです。元気でしたか?」
私がそう言うと、声の主はああ、何も変わりはない…とまあ平凡な答えを返した。
「そうですか。こちらも変わりはありませんよ」
私もまた至って普通のことを返す。これがいつものやり取りだった。
「そうか。お前は任務をやり遂げなければならないからな。何かあっては困る」
「そうですね。気をつけますよ。ところでこんな世間話をしに来た訳では無いでしょう?」
そろそろうっとおしかったので私はそう切り出した。黒霧さんはそうだといい、言葉を続けた。
「早速だが、我々のことを世間に知らしめる日が来た」
その言葉に私は無言を返した。確かに急だ。急すぎて私がいる意味がなくなる気がする。そんなに突然行動を起こし目的を達成させるならば、私がわざわざ雄英に入った意味を問いたくなる。
「死柄木の奴が我慢ができなくなったからな」
しかし、その一言で私は納得した。
「……なるほど。またですか。確かに我慢という言葉を知りませんもんね彼」
彼の相手をする黒霧さんたちも大変だと私は付け加えた。
「いや、実質のリーダーはあいつだからな。オール・フォー・ワンも認めている。その実力も折り紙つきだ」
私は別段興味がなさそうに頷き、そして作戦の詳細を聞いた。周りから見れば私が独り言を言っているように見えるためだ。こんなところを知り合いに見られたらたまったものではない。
「……人命救助訓練。その時に行動を移す。お前にしてもらう事は建物の把握だ。流石に雄英の構造は調べられんからな」
「了解です。ゲートは彼が壊し、そして黒霧さんのゲートで彼らを建物内に侵入させる。とまぁ、こんなところですか」
だが、少々気になる所が。