第5章 雄英、調査期間
「お前、狛川 虎太郎って奴を知っているか?」
ひやっとした何かを丸ごと飲み込んだような気分になった。私はなんとか笑顔を崩すこと無く、口を開いた。
「……………………狛川 虎太郎? 聞いたことがあるようなないような……。その人がどうしたんですか?」
「…………行方不明のリストに載っているものの1人だ。お前なら心当たりの一つや二つあるんじゃないかと思ってな」
「その人が誰かも思い出せないのに、居場所なんか分かりませんよ。その人私の何なのですか?」
「いや……知らないならいい。その書類が終わったら帰っていいぞ」
「よっしゃ!!」
その言葉を待っていましたとばかりに、私は速攻でそれらを終わらせた。相澤先生はそんな私を呆れた様子で見て、再び作業に移った。私はというと、冷や汗だらだらだった。