第5章 雄英、調査期間
相澤……先生!?
「…………あなたがこんなところで何をしているんです?それに……」
そう言えば、相澤先生は後輩だと言っていたことを思い出した。そして、当然ながら授業をサボっていた私は後ろを振り返ることが出来ないでいた。
「………犬猫山。お前もだ。こんなところで何をしている?」
見なくても睨まれているのが肌で分かった。私はひっと叫ぶ声を無理矢理手で塞いだ。ただならぬ緊張感が体を伝う。
「……彼女、気分が悪かったそうでね。私が付き添っていたんだよ」
八木さんがここで、思いがけずフォローをくれた。………また借りを作ってしまった。しかし、それで納得する相澤先生だろうか。
「…………そうですか。うちの生徒が迷惑をかけたようで」
「い、いやいや。相澤くんも色々大変なようだしね」
相澤先生って、先輩相手にもそんな気だるげな話し方なんだ…。とまぁ、そんなことを考えていると、
「犬猫山、体の方はもういいのか?」
といきなり話を振られた。私は慌てて頷いた。
「そうか。ちょうどよかった。今日はこれで授業は終わりだ。お前は資料室に向かえ」
「へっ!?」
私はいきなり投げられた鍵を、戸惑いながら受け取った。え?なんで?ないなら帰りたいんだけど…
「……居眠りした罰則だ。忘れたのか?」
「……………………………………あ」
そう言えばそんな事もあった。私はひきつる顔を必死で抑えた。
「…や、八木さん。あの……すみません!!!!」
「私は大丈夫だ。罰則、頑張りたまえ」
ううっ、本当に申し訳ない。私は行き良いよくお辞儀をして、申し訳なさにその場からダッシュした。