第5章 雄英、調査期間
「…………すみません。ご迷惑でしたよね」
「構わないさ。こんな胸でよかったらいつでも貸すさ」
にかっと笑う八木さん。だが、頭が冷えた私は顔から火が出るほど真っ赤だった。これは、何かしないと気が済みません。
「………あの……よかったら校舎を案内しましょうか? と言いますか、案内します!!!!!!」
そう言えば校舎内を散策中だと言っていたことを思い出し、私はそう切り出した。私があまりにも強くいうので、八木さんは戸惑った様子だったが、首を縦にして頷いてくれた。
「へ、へぇ…ここ今や空き教室になっているのか」
校舎内を歩く中、八木さんは教室がない廊下を進んで、歩いた。授業を受けている生徒たちの気が散らないようにだろう。本当に気が回る人だと思った。
「ええ。あ、この先は職員室ですね。そこの階段を登ると校長室です」
「それは昔から変わってないな」
「せっかくですので、顔を見せてみては?……あ、そうなれば私は隠れてなきゃ……ですけど」
「あ、あぁ、いやいや。職員室には既に立ち寄ってね。いやー!!元気そうでなによりだったよ」
「そうですか。それはよかった」
その後は他愛もない会話が続いた。しばらくしてふと、八木さんが後ろを振り返った。
「相澤くん!!」