第5章 雄英、調査期間
「………どこ?」
授業が始まるチャイムが鳴り、廊下に人影は無くなった。まぁ、足の速いこと速いこと。どんくさそうな緑谷もいない。
「………そう言えば、緑谷って何の個性なんだろ?」
……力?いやでも、飯田以上の速さだったし。なんかオールマイトっぽい力だったな…。
「オールマイト……」
私の頭にあの襲撃が頭に浮かぶ。流石に平和の象徴と言われるだけあった。生徒達を守るために、自分はボロボロ。滑稽だと馬鹿だと言うのは簡単だが、他人のためにそこまで出来るのは彼にとってヒーローであるのはかけがえの無いものなのだろう。………好きにはなれないが、敬意は払うべきだと思う。ヒーローの中のヒーロー。ヒーローは嫌いだが、彼のその生き方は別に嫌いじゃない。彼の親類や恋人はそんな在り方はたまったものではないだろうが。
「…………はぁ」
私は窓に寄りかかり、外を眺めた。
「………………疲れたな……ん?」
木の下に2人組の影があった。片方は何度も落ち、もう片方はあたふたしている。
「………緑谷たちだ。なにしているんだろ」