第4章 人命救助訓練とヴィラン連合
………あーあ。こりゃだめだ。私はオールマイトに尻を向けながらため息をついた。脳無がいて強気だった黒霧さんも死柄木も、尻込みしている。ようするにビビっている。
「………もう逃げたが良くない?」
私はそう言うが、
「くそっくそっ!!脳無さえいればなんにも思わず立ち向かえるのに!!」
と首をかきむしり、頭が回っていない様子の死柄木。いやだから、脳無はやられていないから、いた場合を考えても無駄って………はぁ。ダメじゃこりゃ。
「落ち着いてください死柄木弔。よく見れば脳無のダメージは確実に現れている。私とあなたの連携ならまだやれるチャンスはいくらでもあるかと」
「………う、うんうんうん。そうだね。やるしかないよ。ラスボスは目の前なんだから」
あのー私の存在忘れていません?はぁ、だめだこりゃ。やるならおろしてくれないかなぁほんと。
「………なにより脳無の敵だ!!!!」
あーあ。ワープの力使えばいいのに、それさえも頭回ってない。
「ん?」
私が呆れていると、不意に目の端に風が映った。
「オールマイトと犬猫山さんから離れろ!!」
「緑谷くん!?」
速い!?なにこれ……目で追えなかった。まさにオールマイトのようなスピード。
「2度目はありませんよ」
死柄木は黒霧さんの中に手を突っ込んで、緑谷に手を伸ばした。
「緑谷少年!!」
流石のオールマイトも焦りの表情を浮かべる。ふむ、緑谷が死者第一号か。