第4章 人命救助訓練とヴィラン連合
「……オールマイト…待っていたよ。社会のゴミ」
死柄木は呟くが、私は察した。もうこれでヴィラン側が勝つことはないと。私は黒霧さんをちらりと見た。黒霧さんは死柄木の判断に任せるようだ。……じゃあ、私もそうしよう。私は後ろへと下がろうとした。
「…は?」
しかし、私の手は死柄木によって掴まれていた。うわっ、やば。こんなにもしっかりと掴まれたら……手もう使えな……くない!?
「……脳無」
「わっ!?」
私が脳無の腕の中に入るその一瞬、死柄木は殴られ、緑谷たちはオールマイトによって別の場所へと移動させられた。
「………みんな入口へ。くそっ…犬猫山少女捕まえ損なったか……。相沢くんをたのんだ。意識がない。急いで医務室へ!! 犬猫山少女は私が必ず取り戻す!!」
「え?あれ速っ!?」
……まさか死柄木、意図的にタイミングをずらした?脳無は私の体をしっかりと掴み、離す気配はない。
「あ、あああ。だめだ。ごめんなさいお父さん」
ゾクッ。その死柄木を見た時、私は嫌な汗が背中を伝うのを感じた。う……最悪。だからこいつと一緒にすんの嫌なんだよ。
「もう掴んでないのに殴られた……あはは。国家公認の暴力だ。流石に速いや。でも、あいつも奪われなかったし、タイミングもずらせたから、目におえないほどじゃない。やはり本当だったのかな?」
「………う」
気持ち悪っ。よくこれに付いていけるよね黒霧さん。私は無理だ。これの下につくなんて、絶対に嫌。こいつと同類なんて思われたくないし、何よりこいつは………
「弱くなったって話」
自分のことしか考えてない。あぁ、いや。本当に嫌い。虫唾が走…
「犬猫山少女を離したまえ!!」
「脳無」
「は?」
再びひょいっと投げられ、今度は黒霧さんに抱えられる。…………なんか絵面的に辛い。無理だ。こんな黒いもくもくにお姫様抱っこされるだなんて………嫌!!
「…暴れるな」
嫌!!暴れるわ!!!!……あ、でもみんなあっちに集中してるし話すなら今か。