第4章 人命救助訓練とヴィラン連合
「いい動きをするなぁ。君、オールマイトのフォロワーかい?」
死柄木が気持ち悪い話し方で、緑谷に声をかけた。その顔も気持ち悪い。やはり腹ではなくて、顔の形が変わるくらい殴っておけばよかった。まだ間に合うか。
足を早める。もう少し……あと少し…間に合わないか。なら、仕方が無い。私は指を3回鳴らした。
「死柄木弔!!」
ばっと死柄木がこちらを向いた。その時の死柄木の顔は滑稽だった。だって、まさか思うまい。自分の名前を呼んだのは、もうすでに人間としての理性も機能も持っていない脳無だったと。
「あはっ」
私は笑った。それこそ頭に来るような笑い方を。死柄木が一番嫌う笑い方を。案の定、死柄木は叫んだ。自分の手を梅雨ちゃんから私へと出しながら。
「脳無!!こいつを……」
それをいうのとその手が私に触るのとどちらが早いかな?おそらく相澤先生はもう意識はない。抹消ヒーローの助けはもう期待出来ないだろう。あははっ!今度こそ私を殺せるじゃん!!死柄木弔!!だけど、私もただでは死にたくないな!!私は脳無に死柄木の顔を殴るよう指示した。本当に殴ってくれるかは知らないけどさ。死柄木の手が触れるまであと少し……
バーン!!
不意に何か大きな音が響き渡り、私たちは静止した。私はそれが扉を蹴破る音だと認識するのに結構かかった。
「もう大丈夫」
凛とした逞しい声が今度は響いた。その声に目を光らせるものもいれば、憎悪の目を向ける者もいる。……どうやら私が死ぬのはまだ先のようだ。
「私が来た!!」
平和の象徴、オールマイトがとうとう現れたのだ。