第4章 人命救助訓練とヴィラン連合
「……なんで私こうほいほい投げられいるのでしょう? さっさとあっちに引き渡せばいいのに」
本当に死柄木の考えていることは訳が分からない。しかし、黒霧さんは静かに笑った。
「死柄木はお前を渡したくないみたいだ」
「はぁ?何ほざいてるんですか? 私、あいつから殺されかけたんですけど」
「口が悪いな。あの戦闘に放り込むぞ」
…………。ちらりとオールマイトの方を見た。えらく激しい戦いだ。その中に放り込まれたらどうなるだろう。………死ぬな。
「………何を仰っているのでしょう。私、あの方に殺されかけたのですよ」
私は言葉を言い直した。黒霧さんは満足そうに頷き、口を開いた。
「お前という相手がいなくなって、死柄木はとてもつまらなさそうだった。何度もワンフォーオールに言いに行ったものだ。今回の襲撃は我慢が出来なくなった死柄木が言い出したと言っただろ?」
私は吹き出した。何を言い出すかと思ったら…。ただ単に殺す相手がいなくなって、それを発散させているだけではないか。
「……それはますます気分が滅入りますよ」
「お前にとってはそうだろうな」
クスクスと笑う黒霧さんに、私はため息をついた。
「………あの、そろそろ下ろしてくれません?」
「なんだ。この体勢は嫌いか?」
いや、嫌いとかではなく……
「ふむ。思春期とやらは難しいな」
何かズレた方向にいく黒霧さん。…………おーい。
「………おっと、済まないが時間だ。しかし私は投げるなんてことはしないから安心しろ」
「は?」
ぐんっと体が引っ張られて、気がつけば死柄木の腕の中にいた。
「………………」
「……………おうふ」
嘘でしょ!!投げるよりもこっちの方がタチが悪い!!ちらりと死柄木を見ると、夢中でオールマイトの戦闘を見ている。顔がとにかく気持ち悪い。……そういえば、黒霧さん何しに……。うわ……
「オールマイト!!」
叫ばずにはいられなかった。いわゆるオールマイトはピンチ状態だったのだ。