第15章 新たな門出と、仮免
私の言葉に彼女はにこりと笑顔を零した。
「弔君に言われてきちゃいましたぁ」
そして、彼女は私の手に擦り寄る。彼女の個性は変身…相手の血液を摂取することで、その相手の姿になれる個性…。隠密にはピッタリの個性だ。
「荼毘くんからの伝言です。いつでもこちら側のドアは開けておく…だそうです」
荼毘の名前が出た途端…あの青々しい炎を思い出した。…何故ここまで自分に執着するのか…!!
「あ、あと…こっちは私からなんですけど…」
それは目の前の彼女もそうだった。ステインの影響の大きさは知っている…だが、その思想をなぜいち少女が受け継げると思っているのかが不思議だった。彼女は嬉しそうに小さな声で私に言った。
「ステ様の後継者の代わりに、あの男…確かビリビリヒーローとか言いましたっけ…その人殺してきてあげますね」
っ!?
どこでその名前を…!! そう聞く前に、彼女はスタスタと人混みの中に消えてしまった。
「夜蝶、大丈夫か…?」
轟が呆然とする私の肩を叩いた。…なるほど、だてに警察から長年逃げ回っていただけある。私は彼女の危機回避能力に思わず感嘆の声を漏らしてしまうのだった。