第15章 新たな門出と、仮免
私は少し離れたところで座っていた。一緒にいると言い張る轟を無理に行かせ、私は息を吐いた。…自分の自堕落さが嫌になる…。
「やぁ」
思いにふけっていると、私の前でひらひらと手を振る少女が現れた。…私より少し上だろうか…。制服から見える紋章はイナサくんと同じものだった。
「初めまして。貴方、ヴィランからいつも人質にされている雄英のヒロイン…犬猫山 夜蝶さんね」
彼女は現見ケミィと名乗る。なんだ…この人…なんか…。私は彼女に笑いかけた。
「ええ、そうですが…何だか嫌な認識ですね」
「世論って話題に飢えているのよ。注目されることは悪いことではないでしょ」
貴方可愛いんだし、世論も貴方みたいな話題に尽きないヒーロー好きよ…そう褒めちぎる彼女。私はじんわりと汗が滲むのを感じる。彼女の時折見せる鋭い視線には覚えがあったからだ。……まさか、仮免許試験まで潜り込んでいただなんて…!!
「…あれぇ? もしかしてバレちゃってます?」
急に口調が変わり、コテンっと首を傾げる現見さん。私が黙っていると、急に顔を近づけてきた。
「これでも、隠密には自信があったんですが…どうして気づいちゃったんですかねぇ…?」
「っ!?」
私は彼女の腕を掴んだ。彼女の手が伸びた先には私の拳…ギャングオルカにパンチした時にできた傷だった。傷を目当てに私に近づいたということは…やはりそうか…彼女は…!!
「…やっぱり気づいてたんですねぇ…」
「…なぜここに……トガヒミコ…!!」