第15章 新たな門出と、仮免
ヒーロー公安委員会の方が、わたしたち一人一人に用意されたプリントを配布する。採点内容などが細かく記載されており、轟とイナサくんの間でそのプリントに目を通した。
「……ちゃんとよく見てるなぁ」
点数、85点。前半の行動の遅さ、終盤の判断の遅れが特に減点されている。まぁ、相手がギャングオルカだったから怪我はしなかったものの、実践だったら死んでいた…そう思った瞬間…私はハッとした。私は思わずプリントを握りしめた。……実践だったら死んでた…? 何を甘いことを考えているのだろう…と。判断の速さ、迷いのない行動…どれも先生が私の長所としたところだ。それが今…欠点として表面化している。私は思わず口を押さえた。
「夜蝶、どうかしたか?」
隣では私の体調を気遣う轟が、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。……何時からだ…私はいつから彼を……自分の身を呈してまで守ろうとしてた?
「………大丈夫…。なんでもない…」
私は目眩を覚えたが、大きく息を吐いてそう答えた。周りでは私を気遣う人達が集まってくる。……いつから私は…この人たちを…自分の仲間だと…思うようになったのだろうか…どうせ、私のことなんて分かりはしない…このひとたちのことを…。