第15章 新たな門出と、仮免

各々が自校の制服に着替えて試験結果発表の場へ赴く。壇上の目良さんの講評が入り、HUCとヒーロー公安委員会の二つの方向からの減点方式が採点基準だと知らされる。最後に結果が開示された。

「……あった…」

鼓動がうるさい中犬猫山という名を探したが、その名は無事にそこにあると分かると私はふぅっと息を吐いた。ちらりと轟を見ると、彼は真顔だった。盛り上がるA組の中、落ち着いた眼差しの彼の腕を引っ張る。彼の名はあそこにはなかった。

「轟！」

場に響く大声に、私達は振り返る。こちらへと真っ直ぐ向かって来るイナサくんは、焦凍の前に立つなり地面に頭突きをした。

「ごめん!!」

自身の心の狭さが轟まで不合格にさせてしまった…実直に謝罪するイナサくんはどこまでもまっすぐだ。対して轟も何かが吹っ切れたように口端を弛ませる。2人が仲直りする姿を横で見ていた私だったが、バッとイナサくんが私の手を掴んだ。

「夜蝶ちゃんも…ごめん!! 俺の攻撃に巻き込みそうになって…危うく君を傷つけるところだった」

恥ずかしいセリフを真っ直ぐな目で言うイナサくん。私は照れくさくなりながらも、答えた。

「緑谷くんが助けてくれたから大丈夫だよ」

そして、やはり頭をぶつけてしまうイナサくんの額に手を当てる。すると、彼の額から傷が消える。

「頭は大事なところだから、あまりぶつけないようにね」

ついでに頬の汚れも取ってあげていると、轟が私たちの間に入る。

「お前の実力は認める…だが、俺の妹は誰にでもこんなんだから勘違いするなよ」

「勘違いなわけないっスよね！？ 確かに夜蝶ちゃんは優しいッスけど…お兄さんは俺たちの仲を認めたくないだけッスよね!!」

「俺はお前の兄貴になった覚えはねぇぞ」

2人の漫才のようなやり取りに、私は思わず笑ってしまう。いいコンビなような…そんな気がした。