第15章 新たな門出と、仮免
何も考えず突っ込んだので、私はそのまま地面に滑るように倒れ込んだ。いてて…
「夜蝶ちゃん…大丈夫!?」
すっ飛んで来た緑谷が私に手を差し伸べる。
「大丈夫。ありがとう」
温厚な顔に戻った緑谷を見て、一気に気が緩まってしまった。私が彼に起こしてもらっていると、ギャングオルカが私たちに近づいた。
「……いい蹴りとパンチだった…」
そう私たちを褒める姿を見ると、この人は見た目は怖いが本当は面倒見のいい性格のよう。私と緑谷は顔を見合せ、彼に礼を言う。
「あ…少し待ってください」
ギャングオルカはそのままどこかへ行こうとしたが、私はぎょっとした。よく見たら、怪我の程度が凄かったからだ。よくこの人…これで戦えてたな…。
「…………便利な個性だ…」
火傷が酷かったが、無事に治療できて私はほっとする。すると、一言礼を言うとスタスタと行ってしまうギャングオルカ。タフな人だ。私はポカンっとしている緑谷の傷もついでに治した。
「な、治ってる…。夜蝶ちゃん…君…個性は…」
そう言えば緑谷は初お披露目の場にいなかったんだっけ…そう思い、私は苦笑して説明した。
「知らなかった? 私、轟焦凍の妹なんだよ」
と。