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私の敵はヒーロー

第15章 新たな門出と、仮免


流石に慣れていない個性で、無茶をしすぎたようだ。私は体のキャパオーバーを感じた。翼が消え、私は地面へと足をつける。

「…………これが…プロヒーロー…ね…」

炎と風…相性は良いはずだし、ギャングオルカとの相性は激悪なはず…。だが、苦労して作った炎と風の檻は、なんと超音波で掻き消されとしまった。これが、プロヒーロー。私の敵…。

「で? 次は?」

そうヴィラン丸出しで煽るギャングオルカに、私たちは地に膝をつけた。だが、超音波がくる一瞬…轟が私を超音波から逃れさせようと肩を押してくれたので、私は直撃を免れたためまだ動けた。動けない焦凍とイナサくんの前に出る。策はない…だから戦いながら考える。私は背中から羽を出す。

「…ほう…!!」

私を面白そうに眺めるギャングオルカと対峙する。四肢に力を込め、私は宙へ浮く。歴然とした力の差を見せつける強敵相手に防衛戦。しかも、あれだけ攻撃を受けたのにまだ動けるのか…!! 私は彼の超音波に纏っている炎が消えそうになるのを必死で保った。

「…なるほど。やはりエンデヴァー同様…炎が個性の源のようだな」

ニヤリと笑みを浮かべるギャングオルカに、私は距離を取ろうと動いた。不味い…今大きいのが来たら…後ろの轟たちまで庇うことができる力は私には無い。どうする…突っ込むか…!! 一瞬の迷い…それが今回の私の反省点だった。

「遅いっ!!!!!!」

ビクッと身体を震わせ、私は炎の囲いを作った。その隙に私は轟たちの元へと飛ぶ…。あれ以上の攻撃が続いたら…脳震盪では済まされない…!!!!

「逃げ…っ!?」

私の真横を突風が通り過ぎる。振り返ると、緑谷が躊躇いなくギャングオルカに蹴りを入れていた。そのスカッとする光景に、私は思わず両腕を上げた。

「デクくん!! 最高っ!!!!!!」

気分が良くなった私は、地面を強く蹴る。そして、体勢を戻そうとしていたギャングオルカに大きく振りかぶった拳を落とした。

「私の兄貴と友達をなじっていいのは、1番苦労した私だっ!!!!!!!!!!」

自分でもズレているとは思うが、彼らのことを愚か者共と言われたことが、今更腹が立っていたようだった。たて続けに攻撃され、流石のギャングオルカも膝をついたところで、けたたましい演習終了のブザー音。

2次試験の終了の合図だった。
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