第15章 新たな門出と、仮免
~誰かside~
「邪魔!!」
初めて受けた拒絶に、俺は呆然とその戦闘を見ているだけだった。夜蝶が緑谷の名を呼び、共闘が始まると…あぁ…あいつが頼るのは俺じゃねぇのか…その事実を突きつけられる。さらには…
「夜蝶ちゃん!!」
緑谷の攻撃が躱されると、左右から夜蝶の炎が襲うという、絶妙なコンビネーション…それは徐々にギャングオルカを押しているかのようにも見えた。
「…緑谷くんっ…!!」
そして、夜蝶が緑谷の手を引っ張り、ギャングオルカと距離を取った途端に、ギャングオルカが炎の渦に包まれた。隣の夜嵐が息を飲む…その方法は俺らが先程やったことだったからだ。あの威力では…夜蝶だけでは…すぐに消されてしまう。だが、加勢をするなら今だとわかっていても、また拒絶されるのではないかと恐怖で足が竦んだ。
「っ!?」
こちらを振り返る夜蝶と、目が合った。後ろでは炎の隙間から、夜蝶に大きく振りかぶるギャングオルカの姿が。俺と夜嵐は思わず走り出し…そんな俺たちを満足そうに微笑むと、夜蝶はギャングオルカに視線を戻す。その拳があいつに当たるまで……
「させるかよっ!!!!!!」
「させないッス!!!!!!」
ギャングオルカを閉じ込める炎に、さらに俺の炎と風の牢獄が加わる。隣で肩で息をする夜蝶が笑った。
「…流石…2人が力を合わせれば…怖いものなんてない…よ…」
足にあまり力が入っていないようで、なんとか中腰になりながら立っていた。だが、それでも炎の威力は弱くなることは無かった。