第15章 新たな門出と、仮免
「緑谷くん…!」
緑谷は真堂さんを引っ掴んで飛び上がり、真堂さんを後退していた救助者の団体の元へと運ぶ。その間にも、轟がギャングオルカに攻撃され膝をついたので、私は彼らの元へと急いだ。
「判断ミスだな。攻撃範囲の広い君が前線で戦うべきだった。愚か者共が足でまといだと気づいた時点で」
ギャングオルカがそんな風に挑発をする。そんなの身をもって知ったっての!! 私はギャングオルカの攻撃から、轟を守るように羽でそれを防いだ。轟とイナサは私が無事だと知り、安堵する顔をする。なんだその…そもそも貴方たちが仲違いなんかしてるから…!! 苛立ちを感じた私は、その2人を思いっきり後ろへと吹き飛ばした。その風圧でギャングオルカもまた少し距離を取る。私はその隙をつき、2人に叫んだ。
「邪魔!!!!」
2人が驚愕するように私を見るが、知ったことではない!!
「2人にはもう任せない!! 緑谷くんっ!!」
どうやら2人はすでに連携してギャングオルカを炎の渦に閉じ込めていたようだが、失敗しているようだ。連携して無理なら、2人に用はない。私が緑谷を呼ぶと、彼は私の横に立った。…何気に共闘は初めてかもね。
「この騒ぎで皆集まりつつある…!! 夜蝶ちゃん、僕に力を貸して」
戦力が集まるまで、およそ数分…いけるか…。緑谷の言葉に、私はポキッと腕を鳴らした。
「もちろん!! 幼なじみパワーを見せてあげよう!! デクくん!!!!」
そして、私たちはそれぞれ左右へ足を踏み出した。