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私の敵はヒーロー

第15章 新たな門出と、仮免


やっぱり来た…!! 私は飛び上がり、様子を伺った。現れたヴィランは、スーツを着たシャチだった。……確かあれは…ヴィランっぽいヒーローで有名な……!!

「ヴィランが姿を現し追撃を開始!現場のヒーロー候補生はヴィランを制圧しつつ救助を続行して下さい」

ギャングオルカ…誰かがそう叫ぶ。さて、どう動くか…と考えていると、真っ先に動き出したのは他校の生徒…緑谷が真堂さんと呼ぶ彼が乱入した敵に突撃した。

「ふむ…」

彼の行動から救護所に敵を近付かせてはならないという意志を察する。だが、考え無しで突っ込むのは駄目だぞ。

「…君はっ!?」

ギャングオルカの超音波をまともにくらいそうな真堂さんの身体を掴みくるりと勢いよく円を描く。その際に、大きな炎でギャングオルカを包むが……すぐに消されてしまった。

「大丈夫ですか?」

衝撃でクラリと倒れた真堂さんの顔を見ると、脳震盪起こしかけていると分かる。試験と言っても手加減なしだ。緊急ではないが、戦えない彼をこのままにしておくわけにはいかない。私は彼を抱き抱えた。

「……いい反応だ」

私にそう言葉をかけるギャングオルカ…ありがとうございますとつぶやく中、私は思った。そんなに余裕ぶっこいていいんですかね…!!

「…ふむ…」

こちらに顔を向けた瞬間、轟の氷結がギャングオルカを襲った。見れば、他にもイナサくんが到着していたため、この場は戦力としては十分。ならばわたしは倒れてしまった真堂さんを連れて行こうと彼を抱き抱える。が…

「俺は、いい…から、」

いや、ちょっと動かないで欲しい…。試験で焦ってるのは分かるけど、君脳震盪起こしかけてるんだよ…!? だから…動かないでってば!!!!!!

「いい加減にして!! 救助するヒーローが命を粗末にしてどうするの!!」

他校の先輩…だが私は構わず怒鳴った。ビクッと彼は身体を震わせ、そして渋々私の指示に従おうと顔を上げたのだった。
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