第15章 新たな門出と、仮免
時は流れ、ヒーロー仮免免許試験取得試験当日となった。ギリギリでなんとか個性を使いこなせるようになった私は、大きな欠伸をしながら、バスに揺られていた。その間、国立多古場競技場にバスで運ばれた雄英高校1−A組の面々は、相澤先生の「取れるかじゃない、取って来い」という煽りに盛りあがっていた。
この試験に合格すると、タマゴからヒヨっ子へと羽化できる。ヒヨっ子になるぞ!と意気込むわたしたち。いつものアレをやろうと円になる。
「せーのっ、“Puls…”」
そう意気込んでいた時、私の横から大きな腕が伸びた。
「“Ultra!”」
雄英に混じった誰かの声にA組は硬直した。私の横から伸びた腕に注目が集まる。
「勝手に他所様の円陣に加わるのは良くないよ、イナサ」
「ああ、しまった!どうも大変!失礼!致しましたァ!」
ざわつく周囲…しかしそのざわつきは彼だけが原因じゃないと、気づいたのは爆豪がしかめっ面をしているのを見てからだった。
「東の雄英、西の士傑」
冷静に現状を俯瞰する爆豪の言葉で、彼らが数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校、士傑高校の生徒だと言うことに気づく。Sのエンブレムが輝く学帽がその証拠…つまり、雄英のライバルってところだ。