第15章 新たな門出と、仮免
「うちのクラスはどうなの? 緑谷と爆豪、幼馴染みなんでしょ? あり? それともなし?」
いやぁ…幼馴染みと言っても、本当に一瞬だったから…と私は困ったように頭を搔いた。お茶子ちゃんの恋の相手は緑谷だろうから、この話は私が居心地が悪い。
「あ、それに、飯田とも色々あったよね!! それに、瀬呂の頭も撫でてたし…!! てふてふちゃんは誰がタイプなの?」
皆の視線が私に集まる。百ちゃんに助けを求めようとも、呆れたような視線を向けられるだけ。
「犬猫山さん。そのような殿方に気があるような行動は、慎んだ方がよろしいと思いますわ」
正論な彼女の言葉に、私は大丈夫大丈夫と返した。今名前が出た人達が、私に何かしらの勘違いをするようには思えなかったからだ。
「まぁ…もう、そもそも犬猫山さんには轟さんが居るのでしたね。ほら、早くオヤスミしましょう」
「あ〜、確かに鉄壁のお兄ちゃんガードは辛いよ。将来の旦那さんとか大変そうだね」
「分かるわ〜、なんか俺を倒してから〜みたいな事言いそうやんね〜」
「確かに。実際に、爆豪くんにも何度か夜蝶は渡さない発言してるもんね」
ついには轟にまで矛先が向かい、私は彼に申し訳なさから合掌した。そして、何かフォローしなければと思った。このままでは、彼はクラスの女子からブラコン認定されてしまう…。
「ま、まぁ本気で言っているわけじゃないと思うけどね。それに、私はもう彼氏とか要らないよ。そう百ちゃんに約束しちゃったし…。告白とかされない限り、私から動くことは無いよ!!」
百ちゃんから、告白されても好意がなければきちんとお断りするべきだと諭され、最後には今度の休日にアイスを食べに行く約束し終結した。
この時のわたしは、綺麗なフラグが立ってしまったことに、全く気づかないでいたのだった。